2001年宇宙の旅とさよなら人類(1)

 最近、Youtubeで1990年頃の「たま」の映像をみかけ、懐かしくなった。このバンド、89年に放送されていた「イカ天」に出演したのがきっかけでブレークしたのだが、当時、仙台にいたので、番組を生では見ていない。しかし、茨城在住の友人から送られた放送のテープを聴いたところ、これはとんでもないバンドが出現したと、特に衝撃的だったのは「らんちう」であり、これを聞いたあとでは「さよなら人類」もポップなものである(事実、三宅裕司がこの曲のあと「おまえら急に明るくなったな」といっていた)。
 さて、歌詞の内容にもかかわらず、いやあの内容だから「さよなら人類」は大ヒットしたわけだが、おかげで仙台で「たま」のライブを聴くチャンスは増えた。最初は、この曲発売前の1990年4月、仙台駅前の今のさくら銀行のあるビルの8階のライブハウス、150人の満員の中で聞き、シングル発売後の同年7月には、イズミティ21の大ホールで1000人くらいはいただろうか。その後も何度か聞きに行った。
 このイズミティの時は、当時所属していた映画サークルの仲間9人くらいで見に行った。前述の「イカ天」のテープを、そのサークルの友人に聴かせたところあという間にはまりこんでしまい、私のテープをダビングしたばかりか、数限りなく繰り返して聞いて、映画サークルの機関誌に「うちのたまを知りませんか」という紹介記事を執筆、それでサークルにもファン層が広がった。もっとも、自主上映サークルで、演劇や舞踏や大好きなメンバーの集まり、「たま」との相性は良かったのだろう。
 さて、その友人、「さよなら人類」を聞いて、「これは、逆2001年宇宙の旅だね」と評した(彼は、少し前に「2001年宇宙の旅」の原稿を書いていた)。当時、「2001年宇宙の旅」をみてなかったので、すぐにはわからなかったが、後日、「2001年宇宙の旅」をみてなるほどとおもった。「2001年宇宙の旅」では、木星に到着することで、新人類に進化するのだが、「さよなら人類」では、「ピテカントロプスになる・・」としているわけだ。
 しかし、今あらためて聞いてみて、「さよなら人類」は「2001年宇宙の旅」そのものではないかと思う。
(続く)