ブルーライトヨコハマ

 どういう訳か、この曲はリアルタイムで聴いた記憶がある。親と一緒に買い物に行ったときに有線放送で流れていたのではなかったか。
 昨年放送された「てるてる家族」の次女の夏子のモデルとなったいしだあゆみの大ヒット曲で、GSでもフォークでも歌謡曲でもない新しい感覚のポップスとして、かなり広範囲に支持されたのであろう。覚えやすい曲だったので記憶にあるのかな。GS、フォーク全盛期には新鮮だったのかもしれない。発売は「帰ってきたヨッパライ」のちょうど1年後である。
 もちろんドラマにもあったようにいしだあゆみにとって初めての1位獲得曲でミリオンセラーとなった大ヒット曲で当然紅白初出場を果たすが、実は作曲した筒美京平にとっても初の1位、ミリオンセラーである。その後多くのヒット曲を作曲することになる彼にとっての出世作であるというのはけっこう面白い。
 筒美氏は、実は出だしの「まちの」は同じ音で書いていたのだが、いしだあゆみがレコーディングで歌っているうちに、現在知られているように「の」の音が下がってきてしまったという。本来の音は、間奏部分で聞くことが出来る。
 昨年、ドラマで夏子を演じ、この曲をカバーした上原多香子のバージョンでも全く同じになっており、そちらでも歌の部分と間奏の部分の違いがわかる。ただ、上原版はさほどヒットしなかった。
 これは、ブルーライトヨコハマはやはりいしだあゆみのものということだろう。
 30数年ぶりの大ヒットになった例としては「明日があるさ」や「亜麻色の髪の乙女」があるが、このあたりは本歌がそこそこのヒットであったこととカバーに当たって、新しい詞をつけたり、男性の歌を女性が歌ったり、アレンジを大幅に変えたりしていた。ブルーライトヨコハマは延長線上の域を出なかったのかもしれない。
 ところで、「てるてる家族」の照子役の浅野ゆう子にはオリエンタルエクスプレスの曲のカバーで「セクシーバスストップ」というヒット曲がある。ラジオで良く聴いていたが、そのB面が「ブルーライトヨコハマ」のカバーであることはその時は知らず、ドラマが始まってから知った。彼女が歌っていたときは、後年いしだあゆみの母親役をするとは夢にも思わなかっただろう。