女の一代記〜越路吹雪〜

 フジテレビ系で21:00〜23:12放送。
 「愛の賛歌」や「ラストダンスは私に」など数々のヒット曲で知られる越路吹雪の物語で、越路役を天海祐希が好演。歌もなかなかのものであったが、構成としてはむしろ、越路のマネージャーであるとともに「恋の季節」などの作詞者である岩谷時子さんの物語という色彩が強かった。それは岩谷を演じた松下由樹のうまさにもよるものだろう。松下の演技はあまり見たことなかったが、今回はかなり印象的であった。
 越路のステージに上がる前に不安でふるえているときに岩谷に背中に虎と書いてもらったり、ステージが近づくと不安で麻雀などで気を紛らわしたり、様々なエピソードも面白かったが、越路のフランス生活でのエピソードをもとに「夜明けのコーヒー・・」のフレーズを入れた「恋の季節」や会話の中のことばを題名にした「いいじゃないの幸せならば」など岩谷の作品のエピソードも面白かった。
 そしてなによりも「愛の賛歌」が2人にとっての出発点というのはなるほどと思うし。越路の魅力は岩谷が支えていたのだなと改めて思う。
 番組の最後で岩谷の作品リストが。越路の多くの作品の他、「恋の季節」、「君といつまでも」、「男の子女の子」などなじみの作品が多いが、最後にミュージカル「ミスサイゴン」が。言わずとしれた本田美奈子の転機となった作品で、本田の最近のクラシックCD「アメージンググレース」などの作詞を岩谷さんが手がけている。岩谷さんは、本田美奈子越路吹雪のように育てていきたいと考えていたようだが、まさか見送ることになるとは思わなかっただろう。