プロジェクトX

 宝塚歌劇団の「ベルサイユのばら」誕生物語。長谷川一夫さんの歌舞伎の技法を取り入れた卓越した演技指導が見事であった。オスカルの登場シーンの立ち位置が歌舞伎で言う黄金の位置であったり、「瞳に星」という一見無茶な要求も、長谷川さん自身が演技する中で照明との位置関係を常に考えてきた経験によるものだったり、マリーアントワネットの処刑シーンも後ろ向きに階段を上らせて、この世の未練を表現したり。
 そして、1回目の成功を受けて、シナリオを書き直し、配役も変更し、「愛それは・・」をブレイクさせた植田さん(舞台監督)もすごく、彼らの期待に応えた榛名さんもたいしたものである。戦闘シーンの迫力を増すために客席を敵に見たてて、宝塚が得意としていたラインダンスをアレンジした、ダンス形式の戦闘シーンというのも面白い。
 2回目の公演が行われた昭和50年といえば、紅白でもベルばらが大きく取り上げられたのを今でも覚えている。