ベルリンフィルと子どもたち

 久々のユーロスペースにて。実にいいものを見た。
 「子供たちに、もっと音楽の素晴らしさを感じてもらいたい」という指揮者サー・サイモン・ラトルの呼び掛けから、子供たちがバレエ曲を踊る「ダンス・プロジェクト」が始まった。そのバレエ曲を演奏するのはベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
 映画では、子どもたちがバレエ「春の祭典」の練習に取り組む6週間を描いているが、必ずしも熱心で無かった子どもたちが、だんだんと集中を身につけ、練習に夢中になっていくのが興味深い。それに平行して、指揮者のラトルや振付師ロイストン、そして子どもたちの生い立ち、音楽やバレエとの出会いと取り組みがクローズアップされる。
 ラトルは「学校でサッカーを教えるときは、サッカーをやらせるのに、音楽を教えるときは静かにききましょうというのはおかしくないか」とか「芸術はぜいたく品でなく必需品」などのコメントを残しているが、まさにその通りのプロジェクトを実に丹念に描いた作品である。ドイツでは、今後もこのような取り組みが続いていくのだろう。とても楽しみである。