勝ち点1と中田の奇跡?
グループリーグで2試合終わって1敗1分けの勝ち点1、しかも残る相手はブラジル。常識的には絶望である。ところが日本の世界大会の結果を見ると意外なことがわかった。
Jリーグ発足後、日本は、年代別(U-17、U-20、五輪)をふくめ昨年まで14の世界大会に出場している。メキシコ五輪以後でJリーグ以前はアジア突破もままならなかったのだから、この10年はすごいものであるが、その14大会の内、実に8大会決勝トーナメントに進出しているのだからたいしたものである(ナイジェリアユースの準優勝が最高)。
で、興味深いのは、その内容だが、日本は初戦に弱く8大会で初戦に敗れているが、そのうち4大会では巻き返して決勝トーナメントに行っている。その確率50%。新聞に出ていたW杯初戦負けチームの4%に比べるとかなり高い。
そしてさらに、今回のように2試合で勝ち点1というのが3大会あるが、信じがたいことにそのすべてでグループリーグを突破しているのである。で、その3回の内、2回は中田が出場している。93年の日本でのU-17では第3戦メキシコに勝って、95年のカタールでのU-20では第3戦ブルネイに勝って、ともに勝ち点1から決勝トーナメントに進出した。中田は、その後シドニー五輪、WC2002でもグループリーグを突破したので、すべての年代別世界大会で決勝トーナメントを経験したことになる。まさ、日本のこの10年は中田の時代といえよう。
さて、今回は大会の重みも相手も全然違うが、サッカーの試合であることは変わらない。苦境を2回乗り切った中田が今回もいるのである。もしかしたら・・・。
ちなみに、日本が初戦に勝ったのは4回だが、グループリーグ突破は2回(このケースでは、アトランタで初戦ブラジルに勝って、なおかつ勝ち点6をとりながら3位で決勝トーナメントに行けなかった例がある)。
初戦勝っても負けても確率が変わらない、実に不思議なチームである。むしろ引き分けの方が縁起が良く、2回とも成功している(WC2002がこのケース)。
クロアチア戦に向けて
小笠原に期待する。持ち味のロングシュート、パスを見せられるか!
ワールドユース99の輝きは今何処に
あの日本vsオーストラリアはとにかく残念であったし、ワールドユース99から積み重ねてきた代表の財産はどうなってしまうのだろう。
99年4月、トルシエ監督が初めて指揮した国際大会のワールドユース99で選手達はナイジェリアの気候・環境のもとでたくましく戦っていた。小野や本山などは優秀選手に選ばれ、トルシエが選手達を孤児院に連れて行くなどしていた。
チームも予選リーグを1位で突破した後、決勝トーナメントでポルトガル、メキシコ、ウルグアイという難敵を次々と撃破、決勝はスペインに敗れたものの見事に準優勝になった。特に準々決勝のメキシコ戦は観客が試合終了後に興奮してグランドに降りてくるほど魅了した。
その彼らと、上の年代の宮本、中村、柳沢、さらに当時ペルージャの中心選手であった中田ヒデらのチームは、アジアは文句なく制覇、2002WCでも2勝した。
そして今年、あの時のメンバーがドイツに7人行っている。中田浩二、小野、小笠原、高原、加地、遠藤、稲本。ただ、まだ彼らは当時の輝きを取り戻していない。加地はけがし、高原、小野はいまいちだったし、他は出場していない。遠藤のミドルシュート、小笠原の人を食ったようなパスやロングシュート、中田浩二のロングフィード、そして稲本はこのワールドユース時のけがをバネに2002WCで2得点、彼らの実力がまだ見られないのが残念である。
実はあの準優勝したワールドユース99でも、初戦は敗れている。カメルーンに後半ロスタイムに決勝点を奪われ1-2と(今回のオーストラリア戦のような)逆転負け。 でも、当時のチームは初戦の逆転負けをものともせず、アメリカ、イングランドを破って予選リーグ1位となった。
今年のドイツのチームも初戦逆転負けを食らい、このあとクロアチア、ブラジルと厳しい相手だが、開き直って、でもあきらめず、ワールドユース99の再現を目指し、輝きを取り戻してほしい。